少し間が空いてしまいました。すいません。



さて、今回は「官僚制組織」というテーマで書いてみたいと思います。



官僚制とは?言葉自体は非常に有名です。「官僚」というとさらにイメージが湧き易いかもしれません。かつ、あまりよいイメージがないかもしれません。



ここでは、特定の国家公務員などではなく、広い意味での官僚制を指します。

すなわち、社会学者ウェーバー(原語はヴェーバーのほうが近いそうです)が提唱したところの、「官僚制組織」です。



それで、官僚制組織とは?ウェーバーさんは、この官僚制組織がきわめて「合理的」であるとしてこの概念を提唱しました。その特徴として、次の5つが挙げられます。



1.規則の体系によって成立する:成員は規則によって強く制限されている。逆に言うと規則のなかでは権限を制限されることはない。

2.階層的職務権限:いわゆるピラミッド型で、上に行くほど権限が強い。

3.文書主義:職務の通達・諸連絡は文書によってなされるべきである。

4.専門的訓練:専門的訓練を受けた者だけが組織に任用を受けることができ、訓練は任用後も継続される。

5.没人格性:人格的要素は極力排除される。「上の命令を聞く」のは人格によるのでなく規則によると解される。



・・・さて、ここまで来る途中で、もう「ん?」と思った方も多いでしょうか。昨今のビジネスコラムなんかで叩かれてるような要素をこれでもかと散りばめています。

直感的に「うーん」と思うのはある意味普通なのかもしれません。この概念は、のちの組織理論の叩き台として金字塔になっていますし、反対意見も続出します。ときには規則を破ることも必要では?文書主義は煩瑣すぎないか?専門性を高めるが故の弊害がないか?人格的要素こそ重要では?・・・などなど。「官僚制の逆機能」として、きれいにまとめられたものさえあります。



では官僚制という概念は「誤り」なのでしょうか?

しかし、官僚制はいまだに非常に多くの企業でも取り入れられていますし、企業に限らない多くの組織で採用されています。なぜでしょうか?そこには、純然たるメリットも存在するからです。



官僚制のもたらすメリットとは?正確性、確実性、予測可能性、情実の排除、公平性などが挙げられます。同じ業務をより効率的にこなすのには優れているのは事実なのです。



でも、例えばイノベーションを起こしたい、と思う組織には向いていないのも明らかです。あるいは、人と人とのつながりが何より重要だ、と考える人にとってはとんでもないものでしょう(没人格的であるべき、って言ってるんですから)



さてさて、要はここまで何を言いたかったか。



・批判しか受けないような概念でも、よくよく考えたり原点を紐解くと何らかのメリットが存在する。かつてはうまくいっていたことがある。

・・・批判を受けている官僚制は、ある局面ではメリットに溢れたものである。

また、人格的専横(誰かが思いのままに組織を動かして私物化している)が官僚の悪いとこ、という批判はヘンだと分かります。官僚制は没人格性を推奨していますから。という風に、やや的外れの批判も多々ありそうです。



・ある手法・方法には必ずメリットとデメリット、リスクとリターンが存在する。それは局面・環境によっても左右されるものである。

・・・価値は相対的だ、という風にまとめられるでしょうか。官僚制が強く効果を発揮する場面もあれば、逆機能;マイナスに働くこともある。これは時代、社会制度、などなど諸条件で全く左右されるので一概に良し悪しを論じることはできない。



と、いうことでした。

これは、経営においても非常に大事な考え方だと思います。このように、ちょっとずつ切り分けて、良い悪いを語れると、仕事でも少し役立つことがあるかもしれません。

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